フィリピンのクリスマスは、ひと言でいうと
「世界一長くて、にぎやかで、家族愛が濃いクリスマス」
日本では12月に入って少しずつ街がクリスマスの顔を見せるけれど、フィリピンは違います!なんと9月からクリスマスが始まり、4か月のロングランイベントです。
初めて聞いた人は「え、早すぎじゃない?」と思うかもしれません。
でもフィリピンでは、クリスマスは家族と信仰と日常の喜びが結びついた、一年で一番大切な時間。
だからみんな「早く来ないかな」と心待ちにしているわけです。
目次
9月になるとクリスマスが始まる「BER months」
フィリピンでは、9月・10月・11月・12月の4か月を「BER months」と呼びます。September、October、November、December、すべての月に「ber」がついているのが由来です。
- ショッピングモールのBGMがクリスマスソングに切り替わる
- オフィスの受付にツリーが登場
- パロル(星型ランタン)が道路にぶら下がり始める
- スーパーにクリスマス商品コーナーが出現
- 市民のSNSアイコンが赤と緑と金に染まる
9月1日になると、毎年恒例の“クリスマスマニアおじさん”ホゼ・マリ・チャンの歌声がテレビやラジオで流れ、「今年も来た来た!」というムードに包まれます。
街全体が空気ごとワクワクする感じで、毎日が文化祭準備みたいな明るさです!
フィリピンのクリスマス文化の中心には「家族」と「信仰」
フィリピンはアジアで最もキリスト教徒が多い国。
フィリピンは人口の約8割がカトリック教徒。
イエス・キリストの誕生を祝うクリスマスは一年で最も大切な宗教行事なんです。
またフィリピンでは家族をとても大事にします。クリスマスは「家族が集まる特別な時期」なので、遠く離れて暮らす家族もこの時期に帰省して団らんを楽しみます。
そのためクリスマスは宗教的にも家族的にも、とても深い意味を持ちます。
街のデコレーションは“光の海”レベルで本気

フィリピンのクリスマスシーズンになると、街のデコレーションは完全に“全力モード”に入ります。中途半端な飾り付けではなく、街全体をイルミネーションで包み込む勢いです。初めて訪れる方は「ここまでやるの?」と驚くほどです。
パロル(Parol)が街にあふれる

パロルはフィリピンを象徴する星型ランタンです。クリスマス時期は、本当にどこにでも飾られています。
- 家の玄関
- 学校
- オフィス
- ジープニーの車内
- 商店の軒先
- 道路の街灯
伝統的な竹と紙で作られたパロルもあれば、LEDを使った近未来的なパロルもあります。それぞれの家庭やお店が「うちはこんな感じです」と個性を出してくるので、歩いているだけでパロルの“展示会”に来たような気分になります。
住宅街のイルミネーションが予想外に本格的

フィリピンの家庭のクリスマス装飾は、想像以上に本気です。
家の壁にライトをぎっしり飾り付けたり、庭に小さなサンタ村を作ったり、ライトが音楽に合わせて動く仕掛けを入れたり、各家庭の“こだわり”がすごく強いです。
特にクリスマスが大好きな家庭は、もはや個人レベルを超えてイルミネーションショーのような仕上がりになります。住宅街を歩くだけで、1ブロックごとにテーマが違って面白いです。
ショッピングモールの装飾は“巨大イベント級”
フィリピンは世界有数のモール大国ですが、クリスマスの時期はそのモールが一気に“観光地レベル”のデコレーションになります。
- 巨大なクリスマスツリー
- 天井から吊り下がる大型オーナメント
- 入り口の光のカーテン
- 写真映えスポットとして作られた光のアーチ
モールに入った瞬間、日常とは違う世界に切り替わるような華やかさがあります。
家族連れ、カップル、観光客など多くの人が写真を撮るために集まります。
公共スペースもクリスマス仕様に変身
市庁舎、公園、駅前などの公共エリアも、クリスマス期間はフルで飾り付けされます。芝生にライトが敷き詰められ、木には小さな星やボール型のイルミネーションが点灯します。
夜になると、家族連れが集まってライトを背景に写真を撮る“恒例スポット”になります。
市庁舎は建物全体を使ってイルミネーションを行うこともあります。
光がリズムに合わせて点滅したり、クリスマスソングと連動したショーが行われることもあり、まるで公式イベントのようです。
巨大ランタンフェスティバルは“デコレーションの頂点”

パンパンガ州サンフェルナンドで開催される「Giant Lantern Festival」は、フィリピンのクリスマスデコレーション文化の集大成と言っていいイベントです。
直径数メートルの巨大ランタンが、プログラムされた光のパターンで次々と色や模様を変えます。
本当に芸術品レベルで、観客から歓声が上がるほど迫力があります。
通り全体が“光のトンネル”になるエリアもある
都市部では、通りそのものをイルミネーションで覆う場所もあります。
建物同士をつなぐライトがアーチのようになり、夜に歩くと光のトンネルをくぐっている感覚になります。
ジープニーやトライシクルにもライトが飾られることが多く、街中が“動くイルミネーション”だらけになるのもフィリピンらしいポイントです。
「フィリピンのクリスマスの歴史」なぜここまで大事なイベントになったのか?

フィリピンのクリスマスは「アジアで最も大規模で、期間が最も長い」と言われます。この“特別な盛り上がり”には、歴史的な背景がしっかりあります。
宗教、植民地時代、文化の融合、家族観などが積み重なって、現在のフィリピン式クリスマスが作られてきました。
クリスマスの始まりはスペイン統治時代(16世紀)
フィリピンのクリスマス文化は、1521年にスペイン人が上陸した頃から始まります。スペインは約300年以上フィリピンを統治し、その間にカトリック文化が深く根付いたことが大きな要因です。
スペイン人がもたらしたものは・・
- キリスト教
- クリスマスミサ(Misa de Gallo)
- 聖人の祝日(フィエスタ文化)
- 行列(プロセッション)や祈りの習慣
クリスマスは宗教行事として広まり、やがてフィリピン全体の一大イベントとして定着しました。
Simbang Gabi は400年以上の歴史を持つ伝統行事
フィリピン独自のクリスマス文化の中でも象徴的なのがSimbang Gabi(シンバン・ガビ)です。これはスペイン統治下の17世紀に始まったとされます。
なぜ朝4時のミサが始まったのか?
当時のフィリピンは農業中心で、人々は昼間とても忙しかったため、
「仕事の前でも参加できるように」
「農民が涼しい時間に集まれるように」
という理由で、夜明け前のミサが設定されました。
それが現代まで受け継がれ、今では“願いが叶う9日間ミサ”として定着しています。
パロル(星型ランタン)は植民地時代の“灯り”がルーツ
パロルはフィリピンを代表するクリスマスシンボルですが、元は夜明け前のミサに向かう人々の灯りとして作られました。
- 夜は真っ暗
- 道は整備されていない
- 教会へ行く道の目印が必要
竹で骨組みを作り、紙を貼って明かりを入れた“ランタン”が最初のパロルです。
この実用品が、のちに装飾品として進化し、色や形も華やかになっていきました。
アメリカ統治時代(20世紀前半)でクリスマスが“家族イベント化”
1898年にスペインからアメリカ統治へ変わったことも大きな転機です。
アメリカ文化の影響で、クリスマスがより“家庭のイベント”へと変化していきました。
アメリカから入ったもの
- サンタクロース文化
- クリスマスツリー
- ギフト交換
- ホリデーシーズンの考え方
- クリスマスセールや商業イベント
この時代以降、クリスマスは宗教儀式に加えて“家族で楽しむ季節”になっていきます。
戦後から現代にかけて「国民総参加の祝祭」へ
戦後のフィリピンでは、クリスマスがさらに大きくなり、「国中が一緒に祝うイベント」へ発展しました。
- 経済成長とモール文化
ショッピングモールが急増し、イルミネーションやイベントが一気に豪華化 - OFW(海外労働者)文化海外で働く家族が帰省する時期として、クリスマスは“年に一度の再会の日”になった。
- フィリピン気質の明るさ家族を大切にし、祝祭が好きな国民性がクリスマスをさらに盛り上げた。
現在のフィリピンのクリスマスは「伝統×現代文化のミックス」
スペイン時代の宗教文化+アメリカ時代の家庭文化+フィリピンらしい明るさ、家族愛、大らかさこれらが全部混ざって、現在のフィリピン式クリスマスが完成しています。
- 宗教行事 → 深い伝統(ミサ、パロル)
- 家庭行事 → 贈り物、家族団らん、帰省
- 社会行事 → モールのイベント、イルミネーション
- コミュニティ文化 → バリキヤーダ(友人グループ)の集まり
- 国民性 → とにかく明るい、楽しむのが上手
この複合型のクリスマスが、フィリピンを“世界で最もクリスマスが熱い国”と言わせています。
フィリピンの家族観とクリスマス
なぜ「家族の季節」と断言できるのか?
フィリピンのクリスマスを語る時、絶対に外せないのが「家族」というテーマです。クリスマスの準備も、当日の過ごし方も、プレゼントの意味も、ほぼすべてが家族中心で構成されていると言っても過言ではありません。
その背景には、フィリピン特有の“家族観”が深く関係しています。
フィリピンの家族観は「ファミリー=人生の土台」という考え方
フィリピンでは、家族は生活の中心であり、人生の基盤として扱われています。
日本の「家族を大切にする」とは少しニュアンスが違い、もう一段階深い結びつきがあります。
- 三世代同居が一般的
- 親戚も“ほぼ家族”として扱う
- 誕生日や行事は必ず集まる
- 経済的にも精神的にも互いに支え合う
- 家族の中に役割と責任がある
フィリピン人にとって「家族」は、血縁だけでなく“生活を共にするチーム”という感覚に近いです。
海外で働く家族(OFW)の存在がクリスマスを特別にする
フィリピンでは、海外で働くOFW(Overseas Filipino Worker)がとても多いです。家族のために海外で仕事をして、1年の大半を家族と離れて暮らす人も珍しくありません。
- だからこそ、クリスマスは“再会の日”になります
- 1年ぶりに帰ってくる家族がいる
- 空港では大きなバルーンや花を持った家族が待機
- 家に帰れば盛大な歓迎パーティ
- そのまま年末まで家族で過ごす
この“再会ストーリー”が、フィリピンのクリスマスを感情的にも文化的にも特別なものにしています。
Noche Buena(ノチェ・ブエナ)は“家族で迎える深夜の宴”
クリスマスイブの深夜0時から始まるNoche Buenaは、家族の象徴的なイベントです。
どんな雰囲気かというと…
- 夜中なのに家族全員が起きて待機
- クリスマスミサ(Simbang Gabi)を終えて集合
- おばあちゃんのレシピがテーブルに並ぶ
- 子どもたちはプレゼントを開けて大盛り上がり
- 家族写真を撮るのは鉄板
日本の“年越し”と“お正月”を同時にやっている感じに近いです。
寝ないで家族で迎えるという“特別さ”が、フィリピンのクリスマスらしさを最大限に引き出します。
食卓の料理にも家族文化がぎっしり詰まっている
フィリピンのクリスマス料理は、どれも家族を象徴しています。
定番料理と意味
- レチョン(豚の丸焼き)
大きいほど“家族が集まる”象徴。祝い事の王様。
- ハム(甘いクリスマスハム)
家族団らんの定番。全員で取り分けるスタイル。
- ケソ・デ・ボラ(赤い丸いチーズ)
“幸運が回る”縁起物。
- スパゲティ(甘めのフィリピン式)
子どもが絶対に喜ぶ味。家族の笑顔の象徴。
- ビビンカとプットボンボン
伝統ミサとのセットで食べる家族の味。
料理は単なる食事ではなく、「家族全員で一つのテーブルを囲む行為」を大切にする文化と直結しています。
家族のための“ギフト文化”
フィリピンでは贈り物文化も家族中心です。
- 家族全員に何かしらプレゼントを渡す
- 子どもには特別予算が組まれる
- 親戚にも渡すので、数が多くなる
- OFW はスーツケースにギフトをぎっしり詰めて帰国
プレゼントは“モノの価値”よりも、“あなたを思って準備しました”という気持ちを伝える意味合いが強いです。
バルカーダ(仲良しグループ)も家族の延長線
フィリピンでは仲良しグループをBarkada(バルカーダ)と呼びますが、これも家族のように深い存在です。
- グループでクリスマスパーティをする
- ギフト交換(Monito Monita)を楽しむ
- 小さな旅行に行ったりもする
家族と過ごす時間がメインですが、友人も“もう一つの家族”として扱われます。
まとめ
フィリピンのクリスマスは、単なる一年に一度のイベントではなく、人々の生活や文化に深く根付いた特別な季節です。街じゅうが光と色で溢れ、家族が集い、美味しい料理と笑顔であふれるこの時期は、フィリピン人にとって「愛と絆」を再確認する大切な時間です。
準備の段階からクリスマス当日まで、伝統行事や独特のデコレーション、定番料理の数々が、日常を特別なものに変えてくれます。海外の方にとっても、フィリピンのクリスマス文化は驚きと感動に満ちた体験です。
まさに、フィリピンのクリスマスは「家族と心をつなぐ魔法の季節」と言えるでしょう。








