「マニラ首都圏地下鉄」の開通に向け工事が進むフィリピン。フィリピンにはすでに鉄道が通っているものの、大部分が地下化される地下鉄の開通は初となります。
この記事では、マニラ首都圏地下鉄計画の概要や詳細ルートについて解説します。地下鉄開通による不動産価格への影響や、工事の最新情報までまとめました。フィリピン移住や不動産投資を考えている人には、重要なポイントとなるでしょう。
マニラ首都圏地下鉄計画とは
マニラ首都圏地下鉄計画(MMS=Metro Manila Subway)とは、フィリピンのマニラ首都圏を通る地下鉄開通のプロジェクトを指します。ケソン、オルティガス、ボニファシオ・グローバルシティ(BGC)といった主要エリアを通る全長33kmの地下鉄で、2029年末に開通の見通しです。
フィリピンは日本政府と地下鉄開通のための融資協定を締結し、複数の日本企業による共同事業体が地下鉄の開発を進めています。日本の地下鉄開発の技術が生かされる計画であることから、フィリピンから期待されているプロジェクトです。
また、終点から終点までの運賃は88ペソ(約230円)と予定されていますが、料金については変更の可能性があります。日本の地下鉄にも採用されている電車停止システムやホームドアの設置も予定されており、1日あたり推定519,000人の乗客が使用する見込みです。
建設地 | フィリピン共和国マニラ首都圏 |
運営者 | フィリピン運輸省(DOTr) |
開通予定 | 2029年末 |
起工 | 2019年2月27日 |
総費用 | 3,300億ペソ(約9000億円) |
駅数 | 17駅 |
全長 | 33km |
マニラ首都圏地下鉄計画の目的
地下鉄開通の目的として以下の3つが挙げられます。
- 交通渋滞の緩和
- 既存鉄道路線の混雑緩和
- 交通インフラの整備
フィリピンでは、急激な人口増加に伴う慢性的な交通渋滞が問題視されています。鉄道自体はすでに通っていますが、主要エリアへ接続していないことから通勤には向かず、結局車移動がメインとなっている状態です。
一方で、学生街や旧市街では車で移動できない人々が鉄道駅に集中し、混雑や電車遅延といった問題が起きています。
フィリピンは今後も経済成長が見込まれているものの、交通インフラの整備は遅れている状況です。これらを改善するために、マニラ首都圏地下鉄計画への期待が高まっています。
マニラ首都圏地下鉄の詳細ルート
出典:DOTR
マニラ首都圏地下鉄は上記の路線図の通り「イースト・ヴァレンズエラ駅」と「NAIAターミナル3駅」を繋ぐ南北に伸びる地下鉄です。この両駅間の移動時間を、1時間10分から41分にまで短縮します。
地下鉄は以下の17の駅から構成されます。
- イースト・ヴァレンズエラ駅(East Valenzuela)
- キリノ・ハイウェイ駅(Quirino Highway)
- タンダン・ソラ駅(Tandang Sora)
- ノース・アベニュー駅(North Avenue)
- ケソン・アベニュー駅(Quezon Avenue)
- イースト・アベニュー駅(East Avenue)
- アノナス駅(Anonas)
- キャンプ・アギナルド駅(Camp Aguinaldo)
- オルティガス駅(Ortigas)
- ショウ駅(Shaw)
- カラヤアン駅(Kalayaan)
- ボニファシオ・グローバルシティ駅(Bonifacio Global City)
- ロートン駅(Lawton)
- セネット駅(Senate)
- FTI駅(FTI)
- ビクタン駅(Bicutan)
- NAIAターミナル3駅(NAIA Terminal 3)
既存鉄道路線と接続するターミナル駅は以下の通りです。
- ノース・アベニュー駅(North Avenue)
接続:LRT1号線・MRT3号線・MRT7号線 - ケソン・アベニュー駅(Quezon Avenue)
接続:MRT3号線 - アノナス駅(Anonas)
接続:LRT2号線
FTI駅)接続:PNR - ビクタン駅(Bicutan)
接続:PNR
地下鉄開通による不動産価格への影響
フィリピンは著しい人口増加と経済成長に加え、東京と比べて不動産価格が安いことにより不動産投資先として注目を集めています。フィリピン不動産への投資を検討している人にとって、地下鉄の開通は大きな影響を与えるプロジェクトです。
地下鉄は、マニラ首都圏を変える存在になる可能性が高いでしょう。特にオルティガスとボニファシオ・グローバルシティは、マニラ中心地であるうえに地下鉄が通るルートと重なっていることから、不動産価格の上昇に期待できます。投資先の候補として考えてもよいかもしれません。
マニラ首都圏地下鉄計画の現状
フィリピン運輸省による2023年7月時点での進捗発表によると、地下鉄全長33kmのうち33%は完成しているとのことです。
元々は北部区間が2025年、全線開通が2027年の開業予定とされていましたが、現状としては全線開通が2029年に延期されています。資材の高騰による不足が原因ということもあり、今後も開業が遅れる可能性は否めません。
まとめ
マニラ首都圏地下鉄の開通により、マニラ中心部には大きな変化が起こるでしょう。地下鉄が主要エリアを通ることから、交通渋滞や既存鉄道路線の利用者過多といった問題の改善が期待されています。
また、地下鉄が通るエリアの地価上昇も見込まれているため、フィリピン移住や不動産投資を検討している人は、今後の進捗にも注目してください。
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